2020.10.01
iDeCoとNISAとは
資産形成や運用をいう言葉を日常でもよく耳にするようになってきました。でも、そういったものはお金に余裕があるごく一部の人がするもので、ほとんどの人には縁のないものなのでは?と考える人も少なくないでしょう。
ですが、実はサラリーマンでも資産形成や運用をすることができます。
今回は、会社勤めの方にもぴったりな「iDeCo」と「NISA」についてご紹介します。
勤め人は収入と支出が読みやすく投資に向いている
世間でお金に余裕がある人と言えば、会社経営者やタレント、医師などを想像するのではないでしょうか。これらの職業の方たちは、確かに平均より収入が多い人もいると思います。
しかし、実は収入が不安定で先が読みにくいのもこういった職業の方々の特徴です。なかなかテレビに出られず、アルバイトを何個も掛け持ちするタレントさんの話など、聞いたことがありませんか?業績や成績が上がらなければ、1円も収入がないかもしれない職業の場合、先が読みづらいのです。
逆に、会社勤めの方の場合はどうでしょうか。
大きな変化はないかもしれませんが、毎月一定の収入が見込めます。また、支出に関しても、大きなけがや病気がない限り、出ていくお金もほぼ決まっており、お金の出入りが予測しやすいのです。入ってくるお金と出ていくお金の予測を立て、定期的に一定額を運用に回すことができるのが、勤め人の最大のメリットです。
将来貰える年金にプラスできるiDeCoとは?
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」という私的年金の制度で、誰でも自由に加入することができます。
我が国の年金制度は、3階建てと言われており、まず20歳になったら全員が加入する「国民年金」があります。次に民間のサラリーマンや公務員などが加入する「厚生年金保険」もしくは、自営業の方などが加入する「国民年金基金」、そして最後に企業が従業員を対象に独自に運営する「企業年金」があります。これらの年金制度に加えて、個人で積み立てを行う「確定拠出年金」が平成14年に新たに登場しました。
確定拠出年金は、企業や加入者が毎月一定の掛け金を拠出して、自分で運用します。そのため、運用の結果次第で将来受け取れる年金の額が変わってきます。
20歳以上60歳未満の方であれば、原則としてどなたでも加入することができ、運用の掛け金は月5,000円から始めることができ、それ以上積み立てたい場合は1,000円単位で上乗せをすることができます。
また、月の掛け金には上限が設けられており、無理をしてたくさんの掛け金を積むことができないようになっています。
iDeCoに加入すると得られる3つの税制優遇
iDeCoには、税制優遇があります。翌年の住民税に影響する部分に優遇が受けられますので、ぜひチェックしておきましょう。
1.掛け金の全額控除
iDeCoに拠出した掛け金は全額が所得控除の対象となりますので、住民税・所得税が軽減されます。
つまり、年末調整で戻ってくるお金が増える可能性もあるのです!
さらに、翌年の所得税・住民税の計算も有利になります。
例えば、年収が350万円の方が、加入限度額いっぱいまで掛け金を拠出する場合、年間の節税額は4万3,200円となります。
運用しているお金は将来年金として戻ってくる上に、今は掛け金に対して節税を受けられるので、節税分はそのまま利益となるのです。
※掛け金は元金を下回る場合があります。
2.運用で得た利益は全額非課税
毎月積み立てたお金を自身で運用しますので、利益が出る場合があります。
通常、運用で得たお金には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合は全額非課税です。
得られたお金をそのまま運用に回すことができ、より大きな複利効果も期待できます。
3.年金、もしくは一時金を受け取る時にも控除が適用される
60歳以降に年金として受給する「老齢給付金」の場合、公的年金控除の対象となります。
他の公的年金と合算にはなりますが、65歳未満の場合70万円まで、65歳以上の場合120万円までは税金がかかりません。
もう一歩本格的な投資に挑戦したい方にはNISA
NISAは2014年にスタートした個人投資家のための税制優遇制度です。
iDeCoのように掛け金に対しての税制優遇はありませんが、得られた利益が非課税となります。
NISAには、通常のNISAと、少額投資を支援するつみたてNISA、未成年者を対象としたジュニアNISAがあります。それぞれ、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
毎年120万円が非課税となるNISA
通常のNISAは毎年新規投資額で120万円までの株式・投資信託などへの投資から得られる利益が最大5年間非課税となる制度です。
確定拠出と異なり、売却や払い出しは自由に行うことができます。
非課税枠は最大で600万円という上限と、非課税期間が5年という期間が設けられていますが、本来、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますので、それが非課税になるのはとてもお得だと言えます。
ただし投資可能期間は2023年までとなっていますので、検討している方は早めに始めることをお勧めします。
1年の投資可能額は少ないけど非課税期間が長いつみたてNISA
投資で得られた利益が非課税となるのは通常のNISAと同じですが、つみたてNISAの場合、1年に非課税で投資できる上限額が40万円と少額になっています。
その代わり、最大800万円まで非課税で投資ができること、非課税期間が最長20年と長いことが特徴です。
少しずつコツコツと貯めていきたい方はこちらが良いでしょう。
また、つみたてNISAの投資可能期間は2037年と通常のNISAよりも期間が長くなっています。これから資産形成を始めようと考えている方にもお勧めです。
そして、通常のNISAとつみたてNISAはどちらかしか口座開設ができませんので注意が必要です。
お子さんの将来のために備えるならジュニアNISA
ジュニアNISAは未成年の方に向けた投資です。
口座開設者本人と、二親等以内の親族が運用管理者となることができ、年間で80万円までの新規投資額に対して得られた利益が非課税となります。
非課税期間は通常のNISAと同じく最長5年となっており、投資可能期間は2023年までです。
資産形成を始めやすくする税制優遇を利用して、賢くお金を貯めよう
お金を引き出せる可能性を残しておきたい場合はNISA、老後まで引き出せないようにしても良いのであればiDeCoと、ご自身の生活スタイルと環境に合わせて制度を選ぶことができます。
また価格変動のリスクを取り取りたくない場合は個人年金型の保険を利用するなど、予算の少額からでも始められる資産形成の方法が増えてきています。
投資は口座開設に手間がかかる、商品が難しくてよく分からない、リスクが高そうというイメージを持っている方も多いですが、知っていたら今と将来の生活にゆとりが増える制度でもあります。
ぜひ、お近くの金融機関などに問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。