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2020.11.02

配偶者控除が変わる!変更点や影響などはある?

翌年の住民税や所得税に影響してくる配偶者控除。
配偶者の扶養内で勤めている方にとっては、「今年はあとどれくらい働いていいのか?」が気になってくる頃ではないかと思います。

今年からその配偶者控除の範囲が変わります。

これまで扶養の範囲を超えてしまっていた方は、今年の変更で、扶養内となるかもしれません。
また、すでに扶養の範囲内で働いている方に影響はあるのでしょうか?今回は、配偶者控除の変更点と影響についてご紹介します。

配偶者控除とは?

納税者に控除対象配偶者がいる場合に、一定の所得控除が受けられるものです。
その年の12月31日時点で以下の要件に当てはまると、控除を受けることができます。

  • 民法の規定による配偶者であること
  • 納税者と生計を一緒にしていること
  • 年間の所得合計が38万円以下(2020年分からは48万円以下)であること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと

※民法の規定による配偶者とは、婚姻届けによって成立した配偶者の事を指します。内縁関係の場合、税法上では扶養控除はできません。

配偶者控除の控除額

配偶者控除の所得控除は、納税者本人の収入によって変わります。
具体的には、以下の通りです。

納税者本人の所得所得税控除額
900万円以下38万円
(2020年からは48万円)
900万円超950万円以下26万円
950万円超1,000万円以下13万円
1,000万円超0円

103万円の壁とは?

配偶者控除を受けられるのは、配偶者の方の1年間の収入が103万円まで、と聞いたことがある方もいるでしょう。
しかし、要件を見ると38万円となっています。どういうことなのかというと、扶養控除の基礎控除と給与所得控除(給与所得者が全員一律で控除される金額)の合計が103万円となります。
そのため、給与のみの場合は収入が103万円以下であると、配偶者控除の対象となります。

103万円を超えても控除が受けられる配偶者特別控除

配偶者の収入が103万円を超えても受けられる控除があります。配偶者特別控除といい、納税者本人と配偶者の収入によって、控除額が変わります。

配偶者特別控除は、配偶者の所得が38万円から123万円の間で、1万円から、配偶者控除と同じ38万円までの控除額が適用されます。
いろんな数字が出てきてややこしいのですが、収入で考えると、150万円までは、配偶者控除と同じ38万円の控除を受けることができます。

配偶者控除と配偶者特別控除はどちらのほうがいいのか。

前述の通り、配偶者特別控除で収入が150万円までは、配偶者控除と同じ額の控除が受けられます。
そうなると、103万円を超えた方が良いのではないか?と考えた人もいるのではないでしょうか。
いわゆる「○○万円の壁」と言われているものは、配偶者控除の控除額の違いということではなく、配偶者が所得税や住民税、社会保険の自己負担が発生する金額のラインなのです。
103万円を超えると、超えた額に対して住民税や所得税の納税が発生します。
ただし、超えた分に対して課税されるので手取りが減ってしまうことはありません。

つまり、配偶者控除はどう変わったのか?

2020年から、配偶者控除の基礎控除額が38万円から48万円となり、配偶者特別控除の金額の範囲が、38万円~123万円であったのが48万円~133万円とどちらも範囲が10万円増えました。

すでに控除を受けている方に大きな影響はありませんが、これまで扶養を超えるか収めるかギリギリのラインだった方にとっては、扶養の範囲内で収めることを検討しても良いかもしれません。

130万円の壁はまだ存在する?

103万円の壁についてはすでに触れた通りですが、いわゆる130万円の壁はどうなのでしょうか。
結論からお伝えすると、130万円の壁はあります。
パートやアルバイトでも、年収が130万円を超えると社会保険(もしくは国民年金、国民健康保険)に加入することになります。(※)
毎月の保険料が2~3万円になりますので、年間で20万円~35万円の負担となります。
130万円を超える場合、年収によって逆に手取りが減ってしまう可能性があります。

しかし、社会保険は将来受け取れる年金に影響してきます。
扶養に入っている「3号被保険者」と呼ばれる人は、配偶者が扶養者の分の保険料を支払っているのではなく、保険料が免除されている状態です。
つまり厚生年金の扶養に入っていても、将来貰えるのは国民年金のみで、扶養者の厚生年金はありません。
これも踏まえて、将来的にもらえるお金を増やすために、あえて社会保険の扶養から外れることもひとつの選択肢となります。

※一定規模以上の会社で就業している場合は106万円以上で社会保険へ加入することになります。

もうすぐ年末調整の時期。今年の年収の着地予想を立てましょう。

ここまでお伝えした通り、今年から扶養控除の範囲が拡大され、これまで扶養から外れてしまっていた方も扶養内で働くことができる可能性があります。
また、税金や社会保険料の範囲だけでなく、企業によって扶養家族手当などを支給しているところもあります。
現在の収入を見直し、自身の家計にとって一番よい働き方はどれくらいなのか、ご家族で話あってみてはいかがでしょうか。

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