2019.12.02
こんなの誰も教えてくれなかった!年末調整のキホン
もうすぐ年末。この時期になると勤め先から「年末調整」の申告書が配布されますよね。色々と記入する欄がありますが、記入例を見ても何がなんだかわからずに、結局、とりあえずハンコだけ押して提出しているという方もいるのではないでしょうか?年末調整は、その年に収めるべき源泉徴収税の金額を決定させる大事な書類です。きちんと申告をすることで、戻ってくるお金が多くなることも十分にあります。そうは言っても、年末調整のやり方を教えてくれる人はなかなかいませんよね?企業の担当部署でも、すべてを把握している方は少ないと思います。今回は、年末調整で控除ができるものについてご紹介します。これまで申告をしていなかったけど、実は控除できるものがないかチェックしてみてください。
そもそも、何のために年末調整をするのか
会社は、皆さんにお給料を支払う際に、源泉徴収税額表によって決められた源泉徴収税を差し引き、税務署に収めています。 しかし、都度収めた税額の1年間の合計は、年間の給与総額から計算した収めるべき税額と合わないことが多いのです。
どうして合わなくなってしまうのかは人によって異なりますが、結婚や出産、高齢の家族との同居など、1年の間に扶養家族に変動が起きる方もいます。またそもそも、保険料などの控除は年末調整で行うこととされていますので、保険に加入されている方は、収めるべき税額が一致しないのが通常です。
この合わない状態を精算するため、年間の給与総額が確定する年末に正しく計算しなおし、それまでに収めた税金よりも少ない人は追加の納付を求め、多い人には還付します。この清算手続きが「年末調整」と呼ばれる手続きの内容です。
申告書をきちんと提出すると何か起こるのか
年末調整は、税額を決める大事な手続きですと言われても、いまいちピンと来ない方もいると思います。皆さんが提出する申告書はどこで必要になるのか、年末調整の手続きの流れから見ていきましょう。 年末調整で行う税額の計算は、大きく4つのステップがあります。
- 年間の給与総額を集計し、給与所得控除をする
- 所得控除し、課税される所得金額を決定する
- 算出所得税額を計算し、住宅借入金等特別控除額を差し引く
- (3)で算出された金額に102.1%を掛ける
今回ご紹介するのは、この4つのステップの中で(2)に当てはまります。税額は、年間の給与額にそのまま税率を当てはめるのではなく、各申告書で提出された控除額を給与額から差し引いた金額に税率を当てはめて計算がされます。つまり、控除資料を提出することで、「年末調整で税金が還付される可能性が高くなる」のです。
年末調整で提出する書類と、控除できるもの
ここからは、各申告書には実際にどんな控除があるのかをご紹介していきます。自身に当てはまるものがないか、チェックしていきましょう。
扶養控除等(異動)申告書
申告をする方と生計を共にする親族の中に、配偶者以外で、年間の所得が38万円以下の親族がいる場合、給与総額から、決まった額を差し引いて税額を計算することができます。
配偶者控除等申告書
配偶者は、扶養家族の条件に当てはまる場合も、別途、この申告書に記入します。配偶者の場合は、年間の所得が38万円を超える場合でも、「配偶者特別控除」という制度があり、控除を受けることができます。平成30年から法律が改正され、配偶者特別控除の対象となる金額が最大で201万円まで拡大されました。これによって、今までは控除対象とならなかった方も対象になる場合がありますので、確認をしましょう。
保険料控除申告書
その年に支払った生命保険料、地震保険料、社会保険料なども、年末調整の際に所得から控除される対象となります。毎年10月~11月くらいに、保険会社から「保険料控除証明書」という手紙が届きませんか?一般の生命保険だけでなく、介護保険料や、個人年金保険料も対象となります。年末調整を際に申告書と一緒に提出するものですので、なくさないように大切に保管してください。
年末調整の対象とならない方
原則として、給与の支払いを受けている方は全員、年末調整の対象となりますが、一部対象とならない方もいます。たとえば、以下に当てはまる方は、年末調整の対象となりませんので、自分で確定申告を行う必要があります。
- 給与の総額が2,000万円を超える方
- 給与をもらっている別の会社で年末調整の申告書を提出している方
- 日雇いなど、継続して同じ会社から雇用をされていない方
- 災害を被災し、源泉所得税及び復興特別所得税の徴収の猶予、または還付を受けた方
この他に、外国人労働者や年の途中で退職をした方などは、年末調整の対象にならない場合があります。
控除の対象者が増える?配偶者特別控除の控除額が改正
2018年から、配偶者控除および配偶者特別控除の見直しがされ、控除額が改正されました。これによって、「配偶者特別控除」で控除を受けられる上限額がアップしています。
これまでは、配偶者の収入が141万円未満の世帯しか控除が受けられなかったのですが、改正によって、上限額は201万円までに引き上げられました。また、これまでは配偶者の年収が105万円を超えると、満額の控除が受けられなかったのですが、この改正により、150万円まで満額の控除が受けられるようになりました。これによって、新たに控除が受けられるだけでなく、これまで控除を受けていたご家庭でも、控除額が増えることが見込めるようになりました。
※なお、改正後も103万円(自分の所得税を支払わなければならないライン)と、130万円(年金や社会保険の扶養から外れなければならないライン)は変わりませんので注意が必要です。