2020.09.01
本当に2,000万円たりないの?老後資金はいくら必要なのか。
「老後資金が2,000万円足りない」という話を聞いたことがある方は多いと思います。
金融庁が2019年6月に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書の内容が大々的に取り上げられ話題となりました。
しかし突然足りないと言われてもピンときませんし、本当に足りないのか?それならば今の高齢者はどうしているのか?などの疑問があっても不思議ではありません。
今回は、老後に必要な資金は実際にいくらなのか、本当に足りないのかについてご紹介したいと思います。
「老後」の時間は20年を超える
厚生労働省によると、平成30年(2018年)の60歳の方の平均余命は23.84年とされています。
また、女性においては、90歳まで生きている方は50%以上、100歳まで生きる方も10人に1人以上となっています。約50年前と比較すると、平均寿命は20歳以上伸びており、「人生100年時代」は、ただのキャッチフレーズではなく、現実のものとなってきています。
高齢者の家計は毎月平均5万円以上の赤字
退職後の家計を支えるのは、主に「年金」と「退職金」です。
年金は、若者1人当たりが支える高齢者の数が増えていることが取りざたされましたが、退職金も年々減少傾向にあると言われています。
厚生労働省の調査によると、大卒の定年退職者の退職金額は、最も多かった時期から1,000万円下がり1,788万円と言われています。
この平均額には、高額所得者の金額も含まれていますので、実際には、多くの方がこれよりも低い額の退職金となっているはずです。
さらに、退職金が出ないという会社も2割近くあり、老後は退職金をもらって悠々自適の生活・・・というのは成り立たなくなるのかもしれません。
では、現在の高齢者の家計はどうなのかを見てみましょう。
金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書によれば、無職の高齢者世帯で試算をすると、毎月5万円の赤字となっています。
この赤字分は自身の貯蓄から切り崩して生活をしていくことになるのです。
主な収入と支出
詳しく、収入と支出の内訳を見てみましょう。
主な収入は「年金」です。
それに対して、支出は家賃、食費、光熱費、通信費、医療費などがあります。
収入 | |
---|---|
社会保険給付 | 191,880円 |
勤め先収入 | 4,232円 |
事業収入 | 4,045円 |
その他の収入 | 9,041円 |
合計 | 209,198円 |
支 出 | |
---|---|
食料 | 64,444円 |
住居 | 13,656円 |
光熱・水道 | 19,267円 |
家具・家事用品 | 9,405円 |
被服及び履物 | 6,497円 |
保険医療 | 15,512円 |
交通・通信 | 27,576円 |
教育 | 15円 |
教養娯楽 | 25,077円 |
その他消費支出 | 54,028円 |
非消費支出 | 28,240円 |
合計 | 263,718円 |
「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)より
収入から支出を引くと、54,520円の赤字となることが分かります。
生涯で2,000万円の赤字になる!
そして、この赤字が60歳から毎年続くとなると、平均余命が23.84年ですから…
54,520円×12か月×23年=15,047,520円
このようになります。
90歳まで生きる方も女性では半数以上と考えると、ざっくり2,000万円近い赤字となるわけです。
60歳以降も働いている方や、それまでの貯金は計算されていませんので、すべての人のお金が足りなくなっているということではありませんが、何も準備をしないまま老後を迎えてしまうとお金が足りなくなってしまうのです。
さらに、これは現在の状況から計算されたものですので、将来も同じ収支になるとは限りません。
老後資金への備えるために必要なこととは?
何もせずにいたら本当に老後資金が足りなくなるであろうことは分かったけれど、では老後に向けて具体的に何をしたらいいのでしょうか。
ここでは、3つのポイントをご紹介します。
1.まずは自分にはどのくらいの資金が必要なのかを「見える化」
1ヶ月の支出を計算してみましょう。
家賃、食費、光熱費、通信費の他に、し好品や飲み会等でどれくらい使っているのかを、大まかでも構いませんので算出します。
家計簿をつける必要まではありません。現在の生活の維持に必要な金額がどれくらいかが分かれば大丈夫です。
2.老後に得られる収入と差額を計算
まずは、老後のメイン収入となる「年金」を自分はどれくらいもらえるのか試算しておきましょう。
50歳以上の方は、「ねんきんダイヤル」、もしくは「電子申請」で、試算を申し込むことができます。
50歳未満の方は、「ねんきんネット」から、試算条件を設定して、将来受け取れる老齢年金の見込み額を試算することができます。
加えて、年金以外で得られる収入があればそれを加えて、1ヶ月の収入を計算します。
※共済組合加入期間は試算に制限があります。
支出を収入が計算でき来たら、その差額を見てみましょう。
マイナスであれば、その金額が1ヶ月の赤字額です。
医療費などが増えていくことも想定されますが、今と同じ生活を続けると仮定した場合、少なくとも、この赤字額分の収入ないし貯蓄が必要となってくるのです。
3.赤字額を補填する方法の検討
自身が老後に必要な金額が算出できたら、その額を補填する方法を検討しましょう。
具体的には、「家計の見直し」や「資産形成」などが挙げられます。
備えを始めている人がやっている方法とは?
収入が減るなら減るで、それに合わせた生活をするという考え方もあると思いますが、資金があるに越したことはありません。
すでに老後資金への備えを始めている人は、どのような方法で備えているのでしょうか。主なものをいくつかご紹介します。
個人型確定拠出年金
私的年金制度のひとつで、掛け金を自分自身で運用しながら資産を形成する制度です。月々5,000円から始めることができ、掛け金、運用益が非課税となり、受け取る際も控除対象となるため、節税メリットも大きい制度です。
NISA
NISAは正式には「小額投資非課税制度」と言います。投資などの金融商品は、本来、利益が出ると課税されるのですが、NISAは毎年120万円までの投資で得た利益は最長5年間非課税となります。
この他に、2018年からは毎年40万円の投資で得られる利益が最長20年間非課税となる積み立てNISAの制度も始まっています。
積み立て型保険
万が一の際の保証に加えて貯蓄機能が付いた保険商品です。解約をすると、支払った保険料に応じて解約返戻金が返ってきたり、満期の際は満期保険金として給付を受けることができます。
終身、養老、学資、個人年金など、さまざまな種類があります。
資産形成は月数千円からでも始められる
資産形成と聞くと、まとまったお金がある人がやることというイメージがある方もいるかもしれませんが、ご紹介したこれらの方法は、少額からでも始めることができます。長期的な視点で見れば、月数千円の投資もバカにできない金額になります。
老後資金の確保のために、今から少しずつ資産形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
TSUNAGUでは、保険に関するご相談を承っております。
今回ご紹介した資産形成に関するご相談だけでなく、もしもの事故や病気への備えの保険もご提案ができます。詳しいご案内を希望される方は、TSUNAGUまでお問い合わせください。
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