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2021.07.15

失業手当は期間いっぱいまで使い切らないともったいない?「再就職手当」とは

失業保険は、前職の雇用保険の加入期間や年齢に応じて手当を受給することができます。失業手当の受給期間中に再就職をした場合、手当の受給は再就職までとなるので、「それならば期間いっぱいまでもらったほうが良いのではないか?」と考える方もいるでしょう。
しかし、実は失業手当が一定上残っている状態で再就職が決まると「再就職手当」がもらえることはご存知でしたか?
今回は、現在求職中の方や、退職を考えている方にぜひ知っておいて欲しい「再就職手当」について紹介します。

再就職手当とは?

再就職手当は、失業手当の給付を受けている方が、早期に再就職が決まった際にもらえる「お祝い金」のようなものです。
失業手当の支給日数が3分の1以上残っていることや、一定の条件がありますが、満たすと支給残日数と支給率に応じて手当がもらえます。

手当はいくらもらえる?

再就職手当の計算方法は以下の通りです。

再就職手当の支給額=基本手当日額×支給残日数×給付率

給付率は、支給残日数が3分の1以上ならば60%、3分の2以上ならば70%となります。
具体的にいくらもらえるのか例を見てみましょう。

例)基本手当日額が5,000円で、所定給付日数が90日の方が支給日数を40日残した状態で再就職が決定した場合

5,000円×40日×60%=120,000円

基本手当日額は、失業手当の日額です。これは、年齢や前職のお給料などによって決まります。所定給付日数が90日よりも多い方や、より早期に再就職が決まる場合は、これよりも多くの手当をもらうことができます。
また、再就職手当の支給は、入社日が決まり、それをハローワークに報告してから約1ヶ月ですので、最初のお給料よりも早く手当をもらうことができるでしょう。
あまり多くないからお得ではないのでは?と思うかもしれませんが、再就職が決まっていて、かつお給料日よりも前にまとまったお金がもらえることは、精神的にかなり安心感があるのではないでしょうか。

再就職手当の受給要件

再就職手当をもらうにはいくつかの要件があります。ひとつずつ見ていきましょう。

1.失業手当の手続きをして、7日間の待期期間が終わっていること

失業手当を受ける場合、ハローワークに手続きをしてから7日の待期期間があります。
この待期期間中に再就職が決まっても再就職手当の対象となりませんので注意しましょう。

2.失業手当の支給日数の残りが3分の1以上であること

支給日数の残りが少なすぎると、再就職手当の対象となりません。
例えば、所定日数が90日の方ならば、30日以上の支給日数が残っていることが必要となります。

3.前職と密接な関わりがない会社に再就職すること

前職への出戻りや、前職の会社と資本面や人事面で関わりの深い会社の場合、手当の支給対象外となります。

4.自己都合退職などで給付制限を受けている場合、一定期間の間再就職先のあっせん元に制限がある

自己都合で退職をした方の場合、7日間の待期期間が満了すると、今度は3か月の給付制限期間があります。この給付制限期間の最初の1か月は、ハローワークまたは、職業紹介事業者によって再就職先が決まった場合に手当の対象となります。
ハローワークで求人票を見たけれど、紹介をしてもらわずに自分で直接問い合わせをした場合などは対象外となってしまいますので、注意してください。

5.1年以上の勤務が見込めること

再就職先で1年以上働ける見込みがある必要があります。ここで、契約期間が1年未満の派遣の場合などはどうしたら良いのか疑問に思うかもしれませんが、これについては後で詳しく紹介します。

6.再就職先でも雇用保険に加入すること

再就職先でも雇用保険の被保険者となることが必要になります。しかし、この要件が満たされない場合でも、再就職手当ではなく、就業手当の対象となる可能性があります。

7.過去3年以内に「再就職手当」または「常用就職支度手当」を受給していないこと

再就職だけでなく、事業を始めたことで手当を受けた場合も支給対象外となってしまいます。過去に手当を受けたことがある方は、いつ受け取ったのか確認をしましょう。

8.失業手当の受給資格が決定する前に内定をもらっている会社がないこと

受給資格が決定する前に内定している会社がある場合は、手当の対象から外れてしまいます。

派遣やパートでも再就職手当はもらえる?

再就職手当をもらうにはいくつかの要件があることをお伝えしましたが、これは正社員でないといけないのでしょうか?
実は、正社員ではなくても、上記の要件を満たすのであれば、雇用形態は問われません。
しかし、注意する点もあります。

派遣社員の場合、更新の有無があるか

派遣社員の場合、要件の中で気になるのは「1年以上の勤務が見込めること」ではないでしょうか。数か月の契約期間では、再就職手当の要件を満たさなくなってしまいます。
しかし、まだ諦めないでください。契約書に「更新の可能性あり」と記載がある場合は、手当の受給を認定されるケースがあります。

パートの場合、雇用保険に加入するか

一方、パートの場合に気になるのは雇用保険への加入でしょう。週の労働時間が短いと、雇用保険の加入義務が発生しない場合があります。そうなると、再就職手当の支給対象から外れてしまうのですが、それとは別に「就業手当」の受給対象となる場合がありますので、ハローワークへ相談をしてみましょう。

ブランクが長くなるほど再就職は不利になる

ここまで再就職手当について紹介をしてきましたが、失業手当よりも金額が少なくなるなら、やはり損なのでは?と思うかもしれません。

金額だけで比較すると少なくなってしまうかもしれませんが、平均的な転職活動期間は2~3か月と言われている中で、あまり無職の期間が長いと再就職先を探すのがどんどん困難になってきてしまいます。
実際、企業の採用担当者は空白期間の間に何をしていたのか、就業への意欲は高いのかなどを気にします。
長期的に見た時に、せっかくもらえるならギリギリまでもらった方が得とは限りませんので、就職活動の方針を考えながら受給するようにしましょう。

まずは、ハローワークに相談してみましょう

自分が求めている条件にピッタリ合致する企業を根気よく探すのか、少し条件とは異なるけれど早期の再就職を目指すのかは、希望する仕事などによっても最善の方法が異なります。
求職中に利用できる制度も多くありますので、どうしていくのが良いか迷ったら、まずは最寄りのハローワークへ相談をしてみましょう。

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