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2020.04.01

自己都合でも給付制限が解除?失業手当のはなし

会社を辞めて、雇用保険の条件を満たしている方は失業保険を受けることができます。生活費の心配をせずに次の仕事を探すことができる嬉しい制度ですが、自己都合退職の場合、給付制限があり、すぐに給付受けることができませんでした。
しかし、お給料が減ってしまい、辞めざるを得なくなってしまった方などにとっては、この給付制限は生活に大きな打撃を与えてしまいかねません。
実は、失業保険の給付制限を受けずに受給が可能なケースがあります。
今回は、失業保険についてご紹介します。

失業保険とは

失業保険は、失業した人が再就職するまでの間、退職以前に貰っていた給与額の45~80%の金額を受給できるという制度です。
離職後、公共職業安定所に申請し、失業認定を受けることで受給できます。
また、失業給付を受けるには、主に次の要件があります。

現在失業中である

求職活動を行っているが、職に就けていない状態の方を失業中と判断しますので、例えば、病気やケガの療養中の方や、出産・育児等ですぐに再就職ができない状態の方は、受給することができません。失業中である認定を受けるためには、手当の支給を受ける期間中に2回、ないしは3回以上の求職活動の実績が必要となります。

雇用保険に一定期間加入していた

通常の場合、失業以前の2年間に、通算して12か月以上。倒産や解雇の場合、失業以前の1年間に、通算して6カ月以上、雇用保険に加入していることが必要になります。
失業給付は、退職理由によって給付までの待期期間が異なります。これは後の項目でご紹介しますが、自己都合の場合、基本的には3か月間の待期期間が必要です。

失業給付を受給するまでの流れ

ここでは、大まかに失業給付を受けるまでの流れをご紹介します。基本的な流れは、会社都合も自己都合も大きな違いはありません。

受給資格の申請

ハローワークにて求職の申し込みを行い、必要書類を提出します。
※失業給付を受ける方は雇用保険被保険者離職証明書が必要です。退職の際に会社へ作成してもらうよう依頼しましょう。

説明会

受給資格が決定されたら、公共職業安定所から説明会の日時が通知されます。説明会で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申請書」が渡されます。受給手続きを開始した日から7日間を待期期間といい、この期間は、雇用保険の支給対象となりません。

失業認定

原則として4週に1度、失業の認定が行われます(初回のみ、2週間程度の場合があります)失業認定申請書に求職活動の状況を記入して提出します。

受給

失業状態であると認定されると、手当が振り込まれます。以降、再就職が決まるまでの間、失業認定を受け、手当を受給することができます。

自己都合退職には給付制限がある

会社都合で退職となった場合、大きな違いは、給付制限です。
会社都合の場合、先にご紹介した通り、7日間の待期期間を経て、初回の失業認定が行われますが、自己都合の場合は、待期期間の次の日からさらに3か月の間は「給付制限」といい、手当が支給されません。

雇用保険の制度は、本来、労働者の生活や雇用の安定、就職促進を目的としています。失業して収入がなくなっても、労働者やその家族の生活を守れるように、また、就職活動をする経済的・時間的な余裕を持たせることで、労働者が長く働ける安定した職場を見つけられるようにする役割があります。

ですから、自分の意志で行う自己都合による退職の場合は、退職を余儀なくさせられる会社都合での退職と比べ、保障される期間や金額が異なります。

ただし、特別な事情などがある場合、この給付制限が解除されます。

会社の希望退職者に応募した場合は自己都合?会社都合?

会社が業務縮小などによって、人員整理のために希望退職者を募集する場合はどちらなのでしょうか?

この場合は、「特定資格受給者」となります。内容は会社都合に似ていて、最初の7日の待期期間は同じですが、その後の3か月の給付制限はありません。また、年齢や雇用保険の加入期間によって、通常の自己都合退職よりも給付期間が長くなる場合があります。

この他にも、賃金が85%を下回ってしまった場合や、お給料が2か月以上支払われていない場合なども、特定受給資格者に該当すると判断される場合があります。

自己都合でも給付制限が解除される特別な事情とは?

会社の業務縮小などではない自己都合による退職でも、3か月の給付制限なく給付を受けられる場合があります。本人の病気や家族の介護、家族との同居が困難となる勤務地の移動などにより、仕事を辞めざるを得なくなってしまった事情があるケースなどです。
具体的には以下のような場合を「特定理由退職者」といいます。

  1. 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第 20 条第 1 項の受給期間延長措置を受けた者
  3. 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合、又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
  4. 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
  5. 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
    ⅰ) 結婚に伴う住所の変更
    ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
    ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転
    ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
    ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
    ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
  6. その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
    (※)給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。

引用元厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000147318.pdf

まずは、公共職業安定所などに相談しましょう。

自己都合退職であっても、必ずしも給付制限を受けてしまうわけではありません。
働くみなさんの生活が保障されるように制度がありますので、ご自身の場合は給付制限にあたるのか迷ったら、まずは最寄りの公共職業安定所などに相談をしてみましょう。

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