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2020.12.01

様式が変わった?今年の年末調整の改正ポイント

2020年から、年末調整の書類の様式などが変わりました。 会社から配布された用紙を見て「あれ?いつもと違う・・・?」と戸惑った方もいるのではないでしょうか。 今回は、年末調整とはどういうものなのか、今年の年末調整はこれまでと何が変わったのかをご紹介します。

年末調整とは?

年末調整とは、1年分の所得税と、復興特別所得税を計算し、毎月のお給料から徴収した源泉徴収との差額を調整する手続きです。
毎年12月のお給料が確定した時点で1年間の正しい所得税を計算し直し、多く徴収されているならば還付を、逆に不足があれば徴収をします。
この正しい税額を計算するために、みなさんやそのご家族の状況、生命保険料の支払いや住宅ローン控除の有無などの個人情報を集める必要があります。

年末調整はなぜ必要なのか?どんな控除が受けられるのかについては、「こんなの誰も教えてくれなかった!年末調整のキホン」の記事をご覧ください。

年末調整で提出をしなければいけない書類とは

令和2年分の年末調整では、これまで「給与所得者の配偶者控除等申告書」だった書類が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と様式が変わり、年末調整を行う人全員が提出をすることになりました。
配偶者がいない方は今まで提出をしていなかった書類ですので、提出忘れのないように注意をしましょう。

年末調整書類の変更点

令和元年まで令和2年以降
給与所得者の扶養控除(等)申告書変更なし
給与所得者の保険料控除申告書変更なし
給与所得者の配偶者控除申告書「給与所得者の基礎控除申告書
兼 給与所得者の配偶者控除等申告書
兼 所得金額調整控除申告書」に様式変更

扶養控除等申告書

年末調整を行う、行わないにかかわらず全従業員が提出します。
この書類が提出されていないと、毎月の源泉徴収額が高い乙欄が適用されます。

保険料控除申告書

生命保険や地震保険、社会保険料などの支払額を申告します。
保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」の添付が必要となりますので、なくさないように保管をしておきましょう。
また、国民健康保険を支払っている従業員は、日本年金機構から被保険者本人へ送られてくる「社会保険料(国民年金)保険料控除証明書」も必要となります。

基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

従業員の基礎控除の判定、配偶者控除の申告や、ご自身や家族に特別障がいをお持ちの方がいる場合にその情報を記載します。
配偶者控除を受けるためには、配偶者の氏名やマイナンバーの記載も必要となります。

年末調整の変更点

令和2年分の年末調整は、例年と比較して変更点が多くあります。
ここでは、3つをご紹介します。

1.給与所得控除が10万円引き下げ

収入金額が850万円以下の方の給与所得控除額が10万円下がりました。
また、従来は1,000万円を超えると一律220万円の控除だったのが、850万円を超えると一律195万円の控除に変わっています。

2.基礎控除が所得に応じて段階的に減額

これまでは所得制限なく一律38万円の控除がされていましたが、令和2年からは年収額に応じて48万円~16万円と段階的に減額されるようになります。
ただ、多くの方はこの改正によって基礎控除額が増えると考えてよいでしょう。

合計所得金額基礎控除額
改正後
基礎控除額
改正前
2,400万円以下48万円38万円
(所得上限なし)
2,400万円超 2,450万円以下32万円38万円
(所得上限なし)
2,450万円超 2,500万円以下16万円38万円
(所得上限なし)
※国税庁「令和2年分 年末調整のしかた」より引用

3.ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除等の改正

所得者がひとり親である場合に、新たにひとり親控除として35万円が控除されます。
親の性別は関係なく、以下の要件を満たすことで適用を受けることができます。

  • その人と生計を一にする子(ただし所得金額が48万円以下であること)を有すること。
  • 合計所得金額が500万円以下であること。
  • その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。

ひとり親以外には該当せず、配偶者と離婚・死別をした扶養家族のいる方(寡婦/寡夫)についてはこれまで通り27万円の控除が適用されます。また、これまでは寡婦控除が受けられなかった未婚のひとり親については、今回の改正でひとり親控除が受けられるようになります。ただし、どちらも合計所得金額が500万円を超えると控除を受けられなくなります。

変更点が多い令和2年の年末調整。きちんと把握して申告漏れのないようにしましょう。

今年の年末調整は、書類の様式変更や制度の改正によって多くの変更点があります。
書類に直接記入をする方はもちろん、システムに入力する方法で提出をする方も、いつもより記入項目が多くなる可能性がありますので、早めに書類に目を通しておき、分からない点は担当部署へ確認をしましょう。
翌年に収める税金に関わる作業ですので、漏れのないようにしたいですね。

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