2023.07.18
お金における行動経済学の重要性
はじめに
「今年こそは貯金をスタートしたい」
「ついつい浪費してしまい、貯金ができない」
現代人の多くが「お金」に対する悩みを抱えています。
「お金を貯める」ために「家計簿を付ける」「先取り貯金をする」などの方法が有名ですが、頭では分かっているものの、継続できない場合も多いです。
そのような方に向けて、「行動経済学」を学ぶことで、潜在意識が働く自分では気づかない行動を把握して、違ったアプローチから「お金」と向き合ってみるのも良いでしょう。
この記事では、お金に関連した「行動心理学」の大まかな内容から、行動経済学の重要性、主な行動経済学の法則についてわかりやすく解説します。
お金が自然に貯まる!行動経済学から得られるメリット!
「行動経済学」と「お金」は非常に関連性が強く、その関連性を学ぶことで以下のメリットが得られます。
(1)お金が増える
経済活動に関わる方の行動や思考パターンを知ることで、損(マイナス)を回避して得(プラス)する行動を選択できる。
(2)節約&貯金に繋がる
「金銭的余裕がない→貯金ができない」というループから抜け出し、、節約&貯金に繋げる知識を得られる。
(3)投資に失敗しない
投資で陥ってしまいがちな失敗傾向は研究されており、行動経済学が役立つ。
(4)幸福感が高まる
単にお金を増やすだけでは幸福感は得られにくいことが判明している。行動経済学で、幸福感も高められる。
このように行動経済学を勉強することで、多くのメリットを享受できます。
分かりやすく解説!行動経済学とは?
行動経済学とは、「経済学」と「心理学」が融合した学問です。「人間の直観や、感情がどのような判断・行動につながるか?」「その結果、市場経済や人の幸福にどのような影響があるか?」を研究したものです。
現実の人間は、直感や感情に行動を左右をされるため、必ずしも合理的な判断をするとは限りません。
例えば財布を購入するときに2つの財布でどちらを選ぶか迷っている場合「ほとんど同じデザインで、同じ機能性でも何となく値段が高い方を購入した」ということや~「お金を貯める・資産運用を行うことが良いのは理解しているが、実践できない」など、客観的に見ると、非合理的と思われる行動・判断をすることがあります。
行動心理学は、このような「直感や感情によって合理的ではない判断をする」ことを前提にその理由、理論を研究するものです。
今から使える!損をしないための行動経済学の活用シーン5選
「行動経済学」が「お金を貯める」「お金を増やす」などに密接に関連していることを解説しましたが、より具体的にどのような方法があるのでしょうか?
この項目では、お金にまつわる有名な5つの法則と活用シーンについて解説します。
1、その商品はお買い得?~アンカリング効果~
アンカリング効果とは、最初にインパクトのある情報を与えることによって、その後の意思決定に大きな影響を及ぼす効果を指しています。
例えば、スーパーマーケットで販売されているお肉やお野菜が「通常価格より50%引き!」などの表示があったとしましょう。
あなたは、これを見た瞬間に「安い!」と思ったことはありませんか?
しかし、実際には「50%引きでも相場よりも高い」と分かると購入には至らないでしょう。
このように人は特定の情報を鵜吞みにしてしまい、それを基準としてしまう場合があるのです。
商品購入時には特定の情報だけに左右されず、いろいろな角度から情報を集めて購入を検討するだけで、出費が大きく減少しお金が貯まるきっかけになります。
2、テレビで紹介されたから美味しい?~ハロー効果~
ハロー効果とは、ある物を評価するとき、その一部の印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう効果のこと。
例えば、テレビのグルメ番組で有名なタレントがスイーツを食べて「美味しい!」と発信すると、これまでその店に興味を持たなかった方も、行列に並んででも買いたいと思うかもしれません。
聞いたことのない服のブランドでも、好きな俳優・女優が着ていると、少々値段が高くても欲しいと思うことがあるのも「ハロー効果」です。
商品購入側から見ると、ハロー効果を知っておくことでイメージに左右されず「実際の使いやすさ」など、コストパフォーマンスの良い商品選定ができるようになるのです。
3、あなたはどれを選ぶ?~選好(えりごのみ)の逆転
「選好(えりごのみ)の逆転」とは、条件などによって、好きなモノの順番などが入れ替わってしまう現象です。
例えば、マッサージの施術を受けるため店舗に出向いた際に以下のメニューがあったとします。
・Aコース 60分 8,000円
・Bコース 90分 11,000円
上記の2コースは、施術時間・金額以外にも使用するアロマの種類なども異なりますが、サービスの内容を詳しく理解していない方が多いため、値段が安いAコースが選ばれやすいです。
しかし、この2コースに、新たなCコースを追加します。
・Aコース 60分 8,000円
・Bコース 90分 11,000円
・Cコース 120分 14,000円
このようにコースを1つ追加しただけで、Bコースを選択する人が大幅に増えました。
「一番安価なAよりBの方が良いはす、Bコースは高めだけど、Cよりは安いからBが良い」というように、選択の趣向が大幅に変化します。
このように、状況によって好み・順序が変わってしまうことが「選好(えりごのみ)の逆転」となります。
4、取り返そうとして損をする~サンクコスト効果~
サンクコスト(埋没費用)とは、「既に支払ってしまい、取り返すことのできない金銭的・時間的・労力的なコスト」のことです。そして、「サンクコスト効果」は、「既に支払ったコストを取り戻そうとする心理的効果」を指します。
具体例として、パチンコで負けてしまい、多額の費用を失った(サンクコスト化)としても、負けた分のお金を取り返すために、再度パチンコを行ってしまうことも分かりやすい例えでしょう。
サンクコスト効果にハマってしまうことで、多額のお金を一瞬で失ってしまう危険性を秘めているため、気をつける必要があります。
5、「高い商品」は良い商品?~認知的不協和~
自分の持っている考えや価値観が正しいと思えているのが「協和」の状態です。
その反面、「そうは思えない」「自分の考えが正しさにそぐわないのではないか」という矛盾を抱えて、不安に思ったり、不快感を持っている状態を「不協和」と呼びます。
人間は誰しも「自分の意思決定は正しい」と思いたいものです。
「自分が良い買い物をしたかどうか」を不安に思っている場合には、「値段に見合わない商品だったかもしれないが、仕方ない」と思うより、「高かったから、良い商品に違いない」と思う方が、気が楽になります。
この効果を使って、高い商品を販売するビジネスが世の中に増えてきました。
「高い化粧品」「高い家電」なども、どのように良いかを理解しないまま「高いから良い」と考えてしまいがちです。
気づかないうちに、高い買い物をしてしまう危険な法則のため注意しましょう。
まとめ
この記事では、お金における行動経済学の重要性について、具体的に深掘りして解説してきました。
具体的に紹介した行動経済学の法則を頭に入れることで、「この場面ではこの法則が働いているんだ」と理解することで冷静に対処することが可能です。
「お金を貯める」ためのテクニックを学ぶことも大切ですが、「無意識にお金が減っていく」要因になる行動経済学を学び、蓄財に生かしていきましょう。