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2021.01.15

医療費控除ができるものとできないもの

昨年1年の間に使用した医療費が一定額以上の場合、医療費控除を受けることができ、翌年の税金を少なくすることができます。
勤務先からの通知等がなかったと思いますので、年末調整で控除されているのか?など気になっているかたもいるのではないでしょうか。
今回は、医療費控除の制度と、控除できるもの・できないものをご紹介します。

医療費控除とは?

医療費控除は、1年間で支払った医療費が10万円を超えた分を最大200万円まで控除できる制度です。自身だけでなく、生計を同一にする配偶者や親族のために支払った医療費も控除することができます。

(1年間に支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円 = 医療費控除額

※ただし、所得が200万円までのかたは、10万円を引くのではなく、所得の合計の5%の金額を引く

医療費控除は年末調整の対象外

医療費控除は、年末調整で控除することができません。
そのため、勤務先などからのアナウンスがなく、自身で確定申告を行う必要があります。
自分で申告書類を作成しなければなりませんので手間だと感じるかもしれませんが、控除の対象になるのであれば、翌年の税金が少なくなりますのでぜひ、控除を受ける手続きをしておきましょう。

医療費控除で控除できるもの

医療費控除で控除できるものは、ケガや病気の際の治療費だけではありません。
歯の治療や出産なども対象となります。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 医師または歯科医師による診療または治療費
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入(市販薬でも対象となるものがある)
  • 病院や介護施設などの部屋代や食事代
  • はり師や柔道整復師などの施術
  • 看護師や保健師など、特別に依頼した人による世話代
  • 出産費用
  • 助産師による分べんの介助代
  • 補聴器や松葉づえなどの代金
  • 通院費用

自家用車で通院した場合のガソリン代や医師への謝礼金、健康診断の費用、健康増進や予防のために購入した医薬品などは対象にならないため、上記に当てはまるすべてが対象となるわけではありませんが、治療に必要な広範囲の項目を控除することができます。

医療費控除で控除できないもの

上記でお伝えした通り、控除できるものに当てはまるものでも控除の対象とならないものがあります。
では具体的にはどのような場合になるのでしょうか。

  • 入院のために購入した身の回りのもの(寝巻など)
  • 本人や家族の都合で個室に入院した場合などの差額ベッド代
  • 入院中に出前を頼んだ場合など、病院から支給される食事以外の食費
  • 美容のための診療代や治療費
  • 予防や健康増進の目的で購入したサプリメントや漢方薬
  • インフルエンザなどの予防接種

代表的なものを挙げましたが、そのかたの状況や目的によって異なる場合がありますので、医療費に該当するか分からない場合は税務署に問い合わせをするようにしましょう。

申告する場合の領収書は不要

医療費控除を受ける場合、税務署もしくは国税庁のホームページから「医療費の明細書」をダウンロードして記入し、確定申告書を一緒に提出します。
この際、領収書原本は自宅で5年間保管する必要がありますが、添付は不要です。
もし税務署から問い合わせがあった際に対応ができるように、なくさないように保管をしましょう。

医療費控除を受けるほどの医療費を支払っていない場合は「セルフメディケーション税制」の対象か確認を

1年間に12,000円以上の対象医薬品を購入した場合、セルフメディケーション税制を受けることができます(上限控除額8万8,000円)。市販薬でも対象となりますので、医療費控除が受けられないかたもチェックしてみてください。

セルフメディケーション税制の対象となる人

セルフメディケーション税制は(1)1年間に対象となる医薬品を12,000円以上購入していることと(2)健康の保持増進および疾病の予防として一定の取り組みをしているかたが対象となります。
一定の取り組みと聞くと難しく聞こえますが、「会社の定期健康診断」や「予防接種」などが当てはまります。
企業に勤めているかたであれば、会社が健康診断を行っていると思いますので、それが一定の取り組みに該当します。

対象となる医薬品はどうやってわかる?

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、市販薬も対象となります。
ドラッグストアで商品を購入した場合、レシートに「★」などのマークがついている商品があり、レシートの下部に「★の商品はセルフメディケーション税制の対象」のように記載されています。自身でひとつひとつ対象かどうかを調べる必要はありません。

医療費控除と同様に領収書原本の提出は不要

申告には、医療費控除と同様に明細書を記入し提出します。
領収書の原本は5年間自宅で保管する必要がありますが、提出は不要です。

セルフメディケーション税制は期間が決まっている

この制度は医療費控除の特例として作られた制度で、令和3年12月31日までの期間限定の措置となっています。
今年で終わってしまう制度ですので注意が必要です。

早めに準備して確定申告に備えましょう

確定申告の相談、申告書の受付期間は令和3年2月16日(火)~令和3年3月15日(月)となっています。
自身で書類の作成をしなければなりませんので、早めの準備をこころがけましょう。
また、上記の期間中に確定申告に関する相談を受けていますので、医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらを受けたら良いのか、明細書の書き方など分からないところがある場合は相談をするとよいでしょう。

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